関西食文化研究会のホームページに高木氏と私達の食育活動が紹介されました。
料理人の集いというコーナーに記事が載っています。内容は…
日本料理が世界から注目を集め、昆布と鰹節で取るだしが見直されている。関西食文化研究会でも、ワークショップの最初に取り上げたテーマは、だしだった。けれど、昆布や鰹節を使ってだしを取る家庭なんて今や少数派。ほとんどの子どもが、削り節は鰹節を削ったもの、ということさえ知らない。そうした現状に、大阪の鰹節業界の次代を担う若手が立ち向かう。
昆布と鰹節の合わせだしは、江戸時代に大阪から全国へ広まったとする説がある。当時の大阪は食材の一大集散地。各地で取れた良質の昆布や鰹節、それに龍野の薄口醤油などが大阪で出合い、融合し、うまいだしが生まれたという。
産地でもない大阪に、鰹節を扱う老舗が多いのは、こうした歴史的背景があるからだ。現在、大阪の鰹節業界を束ねるのは、大阪鰹節類商工業協同組合。そのもとで、若手有志の集う青年会として、昭和27年(1952年)に大阪鰹節青年團が発足。昭和48年からは、いろり会と呼ぶようになった。いろりの名は、鰹や大豆などを煮詰めた茹で汁、煎汁(いろり)に因む。
大阪鰹節青年團(いろり会)は、近年、食育事業に力を入れている。担当するのは、鰹節専門店「丸与」の八代目を継ぐ岡田文輔さん。「日頃から、親組合のもとで、業界の発展と食生活に貢献するため、さまざまな活動をおこなっていますが、子ども達に鰹節のすばらしさを伝えたいと思ったのです」
「同じ食育活動でも、私たちなら、だしを通してということになります。それなら、日本料理のプロに本当のだしを教えてもらいたいですよね」その依頼先は、芦屋の二つ星料理店『京料理 たか木』の主人、髙木一雄さんだった。
髙木さんは、地元の小学校で日本料理の講習をおこなうなど、すでに食育活動は経験していた。「だしという基本から教えてみたいと考えていた頃なので、岡田さんの狙いはよく理解できました」と、すぐに承諾。以来、数年経つが、両者のコラボは今日まで続いている。
講習は主に次のような内容という。鰹節のレクチャー(製造方法・鰹節の仲間・和食との関係・うま味とアミノ酸などの話と資料の配付)。それに、髙木さんの実演(一番だしをしっかり取る・吸い物にし、八方地を作り、お浸しを作るなど)。子ども達には、本枯節を削り器で削る体験もしてもらう。
「昆布のだし、鰹節のだし、それを合わせただし、飲み比べると、ちがいがよくわかってくれるようです。髙木さんの吸い物も、削った花かつおをお浸しにかけて食べるのも、おいしいと言って喜んで味わっています」と岡田さん。
髙木さんは、子ども達には宿題をだしていますという。花かつおを持ち帰ってもらい、家でだしを取ってみるよう勧めるのだ。そして、後日その感想文を提出してもらう。「読むのが、また、楽しみなんです。だしっていうのは、大事なんだなと、わかってもらえるだけでもうれしくなりますよ」
大阪鰹節青年團(いろり会)と料理人のコラボは、髙木さんから他の料理人へと広がりをみせている。「できれば、より多くの料理人さんとともに、鰹節・削り節を通して多様な食文化活動を展開していければ、と思っています」と岡田さん。関西食文化研究会としても、同じ思いであることをお伝えしています。